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うちみたいな零細教室でも、数ヶ月に1回はテレビ取材や出演の依頼が来ます。
サイトが結構検索に引っかかるので条件に合うところを探して当たっているのでしょう。
初めてテレビ取材の依頼が来たときは舞い上がって、「うっひょー、うちの教室も全国区で有名になっちゃうかも！」なんて思いながらレッスン風景の取材をOKしたのですが、世の中そんなうまい具合にはいかないのです。
とにかくあわただしくタダ働き
実際にレッスンしている周りをテレビカメラや複数のスタッフがうろちょろするので、なんだか落ち着かないし気が散ります。
生徒さんには取材が入る旨を事前に伝えていたので出演したくない方はいらっしゃらなかったのですが、受講料をいただいて教えているのにこういう状況ってどうなのよ、とちょっとお客様に失礼かなと思ってしまいました。
そしてその時は特にうちの教室名などは出してもらえず、先方の要望もある程度取り入れてレッスンをしてかなり時間もエネルギーも使いましたが、私には報酬も見返りも何もありませんでした。もともと仕事として有料で受けたわけではないので当然ですが。
サイトに「○○番組の取材を受けました！○日に出演します！」なんて書いて、ちょっとハクがついた気分になった程度です。
正直、集客の足しにもならず何もいいことはありませんでした。
テレビを見て来る顧客の人物像
そんなこともあり、その後「テレビに出ることで私は何がしたいんだ？」と自問自答することになりました。
まず、私はテレビに出て自分の名前を売ることも芸能人に会うことも全く興味がありません。うちにテレビ置いて無いくらいだし、芸能人の顔と名前も良く知りませんから。
次に、テレビに出てわんさか集客したいのかというと、確かにいっぱい来てくれれば儲かるし「予約の取れない教室」みたいなレア感が出たらちょっと気分がいいです。
しかし、「テレビを見て教室に来る生徒さん」像を想像してみると、
- ○○が体にいい！と出ると一斉に買いに走るが1か月もすれば飽きるような、テレビ情報に流される主体性のない考えない人
- 「テレビに出ている有名な先生」に習いたい、有名な人なら安心タイプな人
- 「テレビに出ている有名な先生」に習っている私すごい！みんなに自慢しちゃおう！なコバンザメタイプな人
のどれかなのではないかという気がしてきました。
1番目は一度習いに来てもすぐ飽きて次の習い事に行くでしょうから、長年のリピーターさんになることは望めません。
2,3番は相性が合えば続けて来てくださるかもしれませんが、結局私じゃなくてもテレビに出ている先生なら誰でもいい可能性があります。もっと有名な先生に鞍替えされるかもしれません。
テレビ取材はお断りの方向へ
いずれにしても、一人自営業で使える時間とエネルギーは限られている中で、そのような方々がわんさか教室に習いに来てしまったらどうなるか。
今まで通ってくれていた生徒さんの対応がおろそかになり、そんな状況を見て嫌気がさして辞めてしまうかもしれません。
それでは大事な優良顧客に失礼を働いた上で逃がしてしまい、おまけにテレビ客は1回こっきりですぐ来なくなるという最悪の状態になりうるのではないかと。
ここまでのシナリオを考えて、「テレビ出演は全て丁重にお断りしよう」という結論に至りました。
以前知り合いが経営する飲食店が、誰でも知っている高視聴率テレビ番組の取材依頼を断ったと聞いた時に「えー、なんともったいないことを！」と思いましたがその気持ちがよくわかりました。
新規開店のお店だとうまく集客に使えたりするのかもしれませんが、細々とでも濃いリピーターさんで回っている経営者の皆様はよく考えて取材をお受けになったほうがいいですよ。
お断り後の余談
テレビ取材や出演をお断りすると、ほぼ「では、同じような教室をやっている方をご紹介していただくことはできませんでしょうか？」と聞かれます。
いやー、タダじゃ起きないのですね。紹介するような人もいないし、いても軽々と紹介しないと思いますが。
あとは普段レッスンで教えているようなことを、突然電話で尋ねられることもあります。そちらもやんわりお断りです。テレビマンのメンタルのタフさだけは感心しますわ。
後日仕方なくテレビ取材を受ける
直接私に来た依頼は現在すべて断っているのですが、とある仕事でコラボした会社で突然取材を受ける羽目になってしまいました。
その店は結構派手なプロモーションも好んでやるようなところだったので、テレビ取材の申し込みも大歓迎だったのでしょう。
付き合いで仕方なく私もインタビューを受けることにしました。
案の定、ディレクターに軽く面倒くさいことも頼まれたのでやんわりとお断りしました。
まあしかし、取材って番組のストーリーが決まってるからインタビューも意図した答えが欲しいんですよね。
私の仕事に関連して「○○ブームが来てると思いますか？」と聞かれて、「いやー、そうでもないですねぇ」と正直に答えたら嫌な顔されました(笑)
ちなみに、この時はテレビ取材を受けたことは誰にも全く告知せず、うちにはテレビがないのでどう放送されたのかも見ないまま静かに終わりました。
さらに後日談。取材されていた目立ちたがりの会社は、後にちょっとした社会問題を起こして炎上していました…。料金を渋られたりいろいろ嫌な感じだったので、この1度しか関わりが無くて良かった…。
コロナ禍にTwitterを見ていたら、やはり想定したストーリーに沿った回答をするように仕向けるしつこい取材が横行していたようです。
コロナ対策に奮闘している飲食店の常連客に「コロナで足が遠のくでしょ？」と尋ね、「いや、三密は怖いけどお店は対策されてるし自分は通います」という回答の「三密は怖い」だけ切り取って使ってたとか。悪意丸出しです。
やっぱり私はテレビって苦手です。
